動物を開業するための資金は、土地・建物や開業後の運転資金も含めて1億円は必要となります。テナントで開業しても資金は5000万円程度の金額を覚悟しなければなりません。自分で開業しようと検討している場合に最も問題となることは「開業資金をどのやって準備するのか」という資金調達です。
本業による貯蓄が資金調達の基本となりますが、生活費や将来の備えも必要になるため、それだけでは開業資金を効率よく貯めることは難しいといえます。
○お金は循環させて貯める
勤務医として働き、動物病院を開業するまでの臨床経過は早い人で2年、遅ければ20~30年という獣医の先生もおられます。
「臨床経験をしっかりと積んでから開業したい」という先生ももちろんおられますが、「開業資金の工面ができる=早く開業できる」といっても過言ではありません。ある程度年齢が若ければ銀行からの融資が通りやすいといったメリットもあります。
資金の大半は基本的に勤務医としての給与をコツコツと貯金していくしかありませんが、銀行口座に貯金しているだけでは効率よく開業資金が貯まりません。お金をうまく循環させることで、目標としている開業資金を貯めましょう。
○資金調達が困難である場合の解決方法
開業するための資金を自己資金ですべてを賄うことができればベストですが、できなければ借り入れという方法を選択しなければなりません。銀行から融資してもらうことが基本になりますが、採算がとれないと判断された場合は民間の金融機関では融資が通らないこともあります。
このような場合には日本政策金融公庫から資金調達をする方法もあります。
○日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している金融機関です。よって、日本全体の経済発展や国民生活の質を向上させるために、民間の銀行から資金調達が難しい個人事業主や中小企業に対して積極的に融資を行っています。
日本政策金融公庫が行っている融資制度を紹介します。
●新規開業資金
新たに事業を始める、または事業開始後して概ね7年以内の事業主を対象に利用できます。限度額は7200万円(4800万円は運転資金)、金利は1.16%~2.45%で返済期間は設備資金20年以内(運転資金は7年以内)となっています。
日本政策金融公庫で融資を受ける場合には、保証人や担保の有無によって金利が変動していきます。民間の銀行や保証人、担保なしの条件でこれほどの金額を融資してくれる機関はなかなかありませんので、ぜひ検討してみるとよいでしょう。