経費の水増しで動物病院の資金のやりくりできる?

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動物病院を開業して間もなく、来院数も読めるようになった頃、当初の事業計画よりも新患の数が伸びないことに気付きました。

新患が少ない事は、診療収益に直接関わってきます。
何がいけなかったのか?どうしてだろう?と改善点に気付いても経営は続けていかなければなりません。

収益が減少しているのに、固定費を含む経費を抑えるには限度があって、運営資金のやりくりに苦労することになってしまいます。

■運転資金にやりくりの為に経費の水増しをすると・・・

動物病院の現金管理や会計処理の担当者にとって、運転資金の少なさは毎日の支払いや治療費支払いのおつりに大変気を使います。
手持ちの資金に余裕があれば、気持ちにも余裕がでますが、資金のやりくりに緊張する状態であれば、普通にできる仕事もうまくいかなくなります。

そんな時に「経費を水増しすればお金が浮くでしょう?」と、悪魔がささやいてくるのです。
消耗品の買い物をして、もらった手書きの領収証1000円の1に“<”を書き入れて、4000円にすることで、現金3000円が浮くことになります。

この3000円は、懐に入れるのではなく別途プールしておくのです。
また、ホームセンターやドラッグストアなどに行った時に、捨てられているレシートを拾ってきて会計処理をします。
購入した「モノ」は無いのですから、処理したお金をまたプールします。

この方法で、実際の帳簿と領収証と現金はピッタリ合わせているのですが、資金のやりくりに困った時や誤差が生じた時に、本来有るべきでない現金を使うことで、問題を解決しているつもりになります。

こんなせせこましい苦労をしても、何の得にもならず精神的負担が増大するだけです。小さな水増しに慣れると、架空仕入れや在庫調整などでも経費の水増しをするようになってしまいます。

この「経費の水増し」は、明らかな犯罪です。
節税でも資金のやりくりでもなく、れっきとした「脱税」なのです。

■人件費水増しは効果絶大だが税務署は騙せない

100円、1000円単位の経費水増しや架空仕入れなどで、経費の調整をしても苦労の割には、効果はそれ程望めません。

経費水増しで絶大な効果が出るのが、「架空人件費」です。
実際は雇っていないのに、架空名簿を作成して給料が出ているように見せる行為です。

社会保険や雇用保険に加入しなければならないスタッフのでっち上げは、無理があります。
ところが、短時間パート社員(時給900円、3.5時間/日、5日/週)という架空のスタッフを作ることは、やろうと思えば出来るのです。

上記のモデルだと、一月の給料は63,000円になります。雇用保険の加入義務も、もちろん社会保険に加入する必要もなく、源泉所得税の控除対象にならない範囲です。
毎月63,000円×12ヶ月=756,000円、賞与も支給したことにすれば80~90万円、個人事業主には大変大きな経費水増しであり、所得税の削減ができる方法です。

架空のタイムカードや勤務表、シフト管理等を厳重にすることでばれないと思うでしょうが、個人事業主がやりそうな不正で税務署を騙せると思わない方が良いですよ。

■経費の水増しは、「脱税」という犯罪です!

架空仕入れや在庫調整、偽装領収証などによる経費の水増しは、帳簿の確認や仕入れの出入りを確認すれば、税務署員の目に不自然な点が飛び込んできます。

徹底的証拠を無ければ逃れられると思うのは甘い考えです。
反面調査で取引先や納入業者の伝票や取引状態を調べることで、すぐに不正は見破られます。

また、架空人件費はどのような言い訳をしても実際に雇っていないと分かれば、その時点で所得税の追徴と、悪質であると認定されれば重加算税の支払いを求められます。

経費水増し、架空〇〇、個人事業主が知恵を絞っても税務署に対抗することなど出来ません。

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