無駄な税金は使わない「節税」は動物病院を経営していくうえで、また今後の成長のために重要なものです。正しい節税方法を知らなければ、節税のつもりが脱税になってしまっていたり、必要な資金に影響していたということにもなりかねません。
動物病院の開業前に把握しておくべき、また経営する点での節税テクニックを幾つか見てみましょう。
■個人事業より法人事業
これは開業時に検討すべき点ですが、動物病院を個人事業ではなく法人事業にする方が節税効果が大きくなります。たとえば、法人税は個人事業の所得税より最高税率が低いので、売上が上がった場合、法人のほうが納める税金が安くなります。
また、法人であれば代表者への給与支給が可能なので、給与所得控除が受けられます。他にも、もし配偶者や親族を従業員として雇う場合、法人であれば損金として算入することが出来ます。しかし、個人事業であれば、青色申告でない限り、配偶者や親族の給与を必要経費に算入することはできないのです。
■白色申告より青色申告
原則的な申告方法である白色申告に比べ、青色申告には税金の負担を減らして節税できる特別な控除が以下の通りいくつかあります。
・帳簿のつけ方により、最高で65万円の控除か10万円の控除を受ける事ができます。白色申告には特別控除はありません。
・動物病院の事業主と生計を共にしている配偶者や親族を従業員とした場合、青色申告であれば、支払う給与を必要経費に算入できます。白色申告の場合にも専従者控除はありますが、最大86万円と決まっているのに対し、青色申告の控除には上限がありません。
・赤字を3年間繰り越す「純損失の繰り越し控除」があります。その年の赤字を翌年以降の3年間の黒字と相殺できる制度です。
青色申告の経理は白色申告に比べ面倒にはなりますが、上記以外にも節税となる特典があり、白色申告よりも節税効果は大きくなるので、青色申告の方が良いでしょう。
■悪い節税より良い節税
税金の金額の点では節税出来ているように感じても、実は悪い節税対策を行っている場合もあります。悪い節税として多いのが、税金を払わないために、何とか経費を使ってしまおう!というものです。必要なものの購入に、使うのであれば問題ないですが、必要のないものを購入してまでも何とか経費を使おうとする方がおられます。
確かにこの方法で経費を使えば税金は減りますが動物病院の資金として残るお金も減ります。急な支払いが出来ないだけでなく、今後の運用資金さえギリギリになる可能性もあるのです。利益が少ない場合は特に危険です。余計な出費ではなく、長い目で見て将来につながること、業績を上げることにつながる投資をしましょう。新しい医療機器を導入したり、スタッフの資格やスキル向上のためにスクールに通わせるという方法もあります。節税だけを意識するのではなく、まず病院の利益、経理状況を把握していなければ良い節税は行えません。
節税効果は、ある程度開業時に何を選択するかに左右されます。白色申告か青色申告か、個人事業か法人事業か、動物病院を賢く運営していくには、節税がカギとなるので開業の際にはその点も考慮してください。
開業後も病院の経理状況を把握して、目先の節税で無駄に経費を使うのではなく長い目で節税できるシステムを作るようにしましょう。