決算がやっと終わったら、消費税の納税額にビックリ!しておられる経営者の獣医師さんも多いかもしれません。
納税額が大きくても、今までしっかり取り分けてきたのであれば問題はありませんが、納税するためのお金を資金として使ってしまい納税期間に手元にお金がない!なんて場合は大問題です。その時になって消費税を納めるために分納できるのだろうかと考える方も多いようです。消費税には分納の制度があるのでしょうか?
■消費税は分納できるの?
消費税は、動物病院が患者さんである消費者から預かっている税金なので、一括納付のみとなっています。ですから消費税は法律上、分納という制度はなく滞納扱いとなります。しかし、申告納税期限前に予め税務署に相談して納税計画を立てて分納することはできます。
その場合でも原則として納税は期限内に一括で行うことになっているので、分割して納税しているとはいえ延滞税を支払うことになり、延滞税の計算方法は滞納している場合と同じ扱いになります。分納で納税額を全て納められたとしても、分納制度があるわけではないので、全納する目的を果たすために税務署に交渉して分割して納めたというだけで、滞納分を納めていることを認識していなければいけません。
分納するためには手元にないお金を、今後の売り上げの中から取り分けて納税しなければいけなくなるわけですから悪循環になります。経理の段階で消費税を把握しておく重要性が分かるのではないでしょうか。
■分納しても延滞税がかかる
国税に関する法律の規定により、国税を納付すべき期限に送れると、その翌日から完納する日までの日数に応じて延滞税がかかります。延滞税の割合は下記の通りに定められています。
1 納期限の翌日から2月を経過する日まで原則として年「7.3%」
2 納期限の翌日から2月を経過した日以降原則として年「14.6%」
分納する場合は、この割合をもとに延滞税を計算して一緒に納税しなければいけません。
※上記の割合は平成28年度4月1日の法令によるもので、その年によって割合が違います。国税庁のホームページにてご確認下さい。また、延滞税の計算方法が分からない場合は税務署や税理士に相談しましょう。
■納税を猶予される条件
基本的には、消費税は一括納税ですが納付することのできない下記のような条件によっては「納税の猶予」という制度を利用して分割納付などの方法で納付することが出来ます。
1. 財産について、災害を受けたり盗難にあったこと
2. 納税者又は家族などが病気にかかったり負傷したこと
3. 事業を廃業したり休業したこと
4. その事業において著しい損失を受けたこと
5. 法定申告期限から1年以上経過した後に、修正申告や更正などにより納付すべき税額が定まったこと
上記のような原因によって納付が困難となった場合にのみ、申請に基づいて税務署長の許可を受けて、1年以内で分割納付できます。
ですから、消費税の納税分を取り分けていなかったために、分納する交渉を行う場合は猶予ではなく滞納として延滞税がかかってくるというわけです。
経営している動物病院が課税事業者であれば、消費税は経営状況に関係なく「一括」で納税しなければいけません。
納税する額が手元にないために、分納して延滞税を払うことがないように、前もって消費税の納税額を予想して確実に取り分けておくことや、税務署に「消費税課税期間特例選択届出書」を提出して、短いスパンで確定申告を行い消費税を納税するという対策をとるようにしましょう。