納税義務がある動物病院が消費税を滞納しないためには?

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国税庁が発表した平成27年度の国税の滞納状況によると、新規発生滞納額が所得税は1,552億円に対し消費税は4,396億円と他の国税の中でダントツに滞納額が多いのは消費税です。
滞納なんて!と思う方も多いかと思いますが、仕組みを理解していなければ、いつの間にかトラブルを招いている可能性もあります。動物病院を経営するうえで消費税はどのように関係しているのでしょうか?

 

■消費税を納税するのは誰?

国が定めた消費税法により、消費税の納税義務があるのは「企業」です。国内取引の場合、事業者は非課税取引を除き事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになっています。(国税庁より)消費税の場合、間接税となるので「払う」人と「納める」人が違うことを忘れないようにしなければいけません。
消費税を支払うのは、動物病院を利用して診察を受けた患者さん側ですが、その消費税を納めるのは、企業である動物病院側になります。消費税は動物病院の売上額ではなく、消費者から「預かった税金
であることを忘れてはいけません。

 

■消費税を滞納する企業があるのはナゼ?

消費税を預かっている税金という認識があればいいのですが、売上に混同しやすいのが消費税です。特に、経営を行っていると、売上は月によって様々で良い月もあれば、当然悪い月もあるでしょう。売上が悪い月に、消費税分の資金を運転資金として使ってしまう事によって、滞納の事態を招いている企業が多いようです。しかも、納税は1年に1回や半年に1回で、すぐには必要なお金ではないため、今使えるお金として資金にまわし、売上の良い月の売上を納税資金にまわせば良いと考えてしまうのです。消費税は消費者から預かっているお金なので、動物病院の経営が赤字かどうかに関係なく納税しなければいけない税金なのですが、消費税を病院の運転資金として使ってしまっていると、納税の時になってお金がない!ということになり、滞納してしまう結果となるのです。

 

■滞納しないためには?

一番わかりやすい方法は、売上のうち消費税分を預金に預けておけば、消費税の納税資金が無いということにはなりません。当たり前のようですが、消費者から預かったものを、毎月取り分けておくことが重要なのです。納税用の銀行口座を作っておくと確実です。
ただし、売上から消費税分すべてを取り分ける必要はありません。消費税額のすべてでは、多くとりわけることになり、利益分も口座で寝かせることになりかねません。では、いくら取り分けておくべきでしょうか?企業が納税する消費税額は、「本則課税」と「簡易課税」があり、計算によってそれぞれよけておくべき金額は異なります。

例えば、本則課税の場合は、仮受消費税-仮払消費税=納税予測額となります。毎月のすべての取引の消費税情報を把握したうえで計算しなければ、予測額がでません。また、簡易課税の場合は、売上から消費税が計算できます。業種によって消費税納税予測額の目安は異なりますが、動物病院はサービス業なので、売上消費税×50%が納税予想額となります。
細かい計算方法は、経営状況によっても異なるので、税理士さんに相談しながら消費税の納税額を予想して、確実に取り分けておくことによって、トラブルを避けることが出来るでしょう。
また、年に1回という納税スパンが問題となりやすいのであれば、税務署に「消費税課税期間特例選択届出書」を提出して、3か月や1か月で納税するという対策も効果的かもしれません。
消費税を納税し始めると毎年納めなければならなくなり、経費の中でも大きな支払いになります。一度滞納すると、元に戻すのが難しく滞納を繰り返す企業もあります。税金の中で特に滞納が多い消費税を滞納してしまう前に、しくみをしっかり理解して予測額を取り分けておくなど、きちんと管理するようにしておきましょう。

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