動物病院の院長も多くは個人事業主ですから、確定申告で所得税の納付額が決まります。
青色申告の届出をしている事で、基本的な節税につながっていますが、もっと節税できることってあるのでしょうか?
「節税」と「脱税」は紙一重といった感があります。つまり、白でも黒でもなく、グレーの費用をどっちに取るのかってこと。
税理士の指導を受けて、税理士がOKを出している事で税務署の判断が有利になることがあります。
■「社会通念上、認められる」費用が経費
経費として認められるのは、「利益を得る為に必要」となる費用ですが、直接的に必要がなくても間接的には利益につながる場合も、経費として認められます。
いわば、「仕事の為に」「利益を得る為に」と言い張ることが出来れば、どんな費用でも経費に出来るのです。
個人事業主の私的な出費と事業の費用との境目を、税法上明確な基準が設けられていない事が影響しています。
その為、「利益を得る為の費用」の解釈が、事業主と税務署では異なることも多くあります。
どんな費用でも経費に出来ると言いましたが、「経費として計上する」のと「税務署が認める」事は全く別問題で、明確な基準が無いからこそ税務署に認められるかが重要なのです。
事業主が「仕事に必要な経費」として支出した費用を、税務署も「仕事上必要であった経費」と認めてこそ、税金に影響する経費(損金勘定)になります。
ここで、税務署が認める経費として「社会通念上、認められる」費用である事が出てきます。
税務署員の「常識的に考えて判断する」は、徴収部門担当者の知識や経験によってその判断は変わるのです。
■「福利厚生費」に明確な定義は無い!
個人事業主の経費に「福利厚生費」を計上するには、何に使った費用を考えますか?
・金銭的な報酬では無い事
・賃金の中に含まれない事
・全従業員に平等に使われている費用である事
「福利厚生費」とは、従業員の健康、慰安、慶弔、福祉などに使われる費用です。
個人経営の動物病院で、「福利厚生費」の計上はあまり考えられないことですが、先に挙げたように明確化されている訳ではありません。
例えば、家族でUSJに遊びに行こうと考えた時、従業員も一緒に行って日程の中に動物病院の経営に参考になる場所や取引先の工場見学などをいれることで、慰安研修旅行として認められる可能性が高くなります。
その場合は、就業規則の福利厚生に記載がある事、事前に日程表や参加者、費用などを明確にしている事が必要です。
■「交際費」に限度額がなく非課税というメリット!
個人事業主の税制上大きなメリットとなるのが、「交際費」です。飲食費の多くを交際費として計上出来る点を使わない手はありません。
・人とあっている事
・仕事の話をしている事
・全額を事業主が支払いしている事
が条件ですが、獣医師仲間とのランチミーティングや取引先との朝カフェでの情報収集など、
「交際費」に計上することで、費用を大きくすることが出来ます。
■税務署に否認されない「裏ワザ」あり!
確定申告書の経費は、税務署が認めるか認めないかで所得税額が決定します。
本来、「節税の裏ワザ」なるものはあってはならないのでしょうが、実は一点だけ税務署に否認されない(認めさせる)ワザがあります。
簡単なことなのです。
「税理士」が認めた経費であること、要は申告書に税理士の署名捺印があることです。
確定申告の時期、税務署は大変忙しく個人事業主の申告に目を光らせていますが、そこに税理士の印があると「税理士が認めているなら」となって、否認される事はほぼありません。
常日頃から密に税理士と連絡を取りあっている事が、節税につながるのです。