動物病院も他の小売店や飲食店でも、納税額は確定申告によって決定します。
1年間の収益から経費を差し引いて、税率をかけた金額から控除額を引いた金額が所得税の納税額になります。
単純に税金を少なくしたいならば、収益が少なく経費が多くなればいいのですが、税金だけに囚われると、個人事業主の生活自体が成り立たなくなってしまいます。
■動物病院の収益とは?
動物病院の収益は、動物の診療収入やペットフード、サプリメントなどの物販の売上も含まれますが、その年内に受取るべき収入の未回収分も含まれます。
未収金は所得税の確定申告に、診療収入等に含めなければなりません。
① 12月31日時点で回収出来ていない診療収入等(売掛金)。
入院中やペットホテルの利用料金は、12月31日までの分を計算して未収金にします。
② クレジットカードで治療費等を支払った分で、翌年1月以降に入金される診療収入等。(①の未収金は含めない)
③ 12月31日までの紹介料やリベートなどで、翌年1月以降に支払いされるもの。
実際の収益の発生は12月31日以内に行われ、入金は翌年1月以降になるものになります。
この未収金(売掛金)が翌年の1月以降に入金になった時は、未収金回収になり翌年の収益には含まれません。(今年度に計上しているから)
■動物病院の確定申告時の経費処理は?
動物病院が所得税の確定申告時に必要経費にできるのは、総収入に係る売上原価、その他総収入金額を得るために直接必要とした費用、その年の販売費、一般的な管理費、その他償却費以外の費用の総額とされています。
また、その年に支払った経費だけでなく、請求書などによって支払いが発生しているが12月31日までに支払っていない経費(未払金)も必要経費に含みます。
① 医薬品や医療消耗品、ペットフードなど納品されているが、12月31日現在支払っていない医療未払金。(買掛金)
② 一般的な管理費で月末締めの翌月払いの請求書など、1月に支払い予定の必要経費も未払金として年内の経費に含めます。
③ カード決済している必要経費(①の買掛金を除く)は2ヶ月後になる場合があるので、11月・12月のカード利用明細を管理して経費への計上漏れを防ぎましょう。
必要経費として問題になるのが、動物病院の2階を院長家族の住居にしている場合の水道光熱費や通信費などの案分計算です。
住居部分の水道光熱費を全額動物病院の経費にしたり、明らかに多額であると思われる配分や、家庭の経費が含まれたまま一括で動物病院の必要経費に計上するなどの行為です。
税務署で細かな部分は分からないと思うかもしれませんが、案外すぐに気づかれます。
事業用と家庭用はしっかりと分けて計上し、不明な点は税理士に相談しましょう。
■動物病院の青色申告で節税!
個人事業主の確定申告は青色申告が前提になります。節税の基本として青色申告の得点をフルに活用しましょう。
① 動物病院開業時の損失(赤字)を、翌年以降3年間繰り越して控除できます。
開業時は、収益よりも経費の方が多額で「赤字」になります。この赤字分を青色申告することで、3年間利益が出た時に控除することが出来ます。
② 青色専従者給与の必要経費算入が出来ます。院長が夫で、妻が受付などをしている場合、妻への給料支給が可能となり経費が増えますが、勤務実態が無ければいけません。
③ 青色申告特別控除(65万円)等を受けることが出来ます。
動物病院開業後初めての確定申告や経理処理は、不明点や迷いや心配事が次々出てきます。
そんな時の助けになるのが税理士です。
分からない事は先延ばしにせずに、その都度不安解消していきましょう。