普通の飲食店や美容院・商店主と同じように動物病院も個人事業主であれば、その年度の所得に応じた額の税金を納めなければなりません。
個人事業主の場合、毎月の売上と経費の支払いで利益があると儲かっているように見えてしまいます。計画性が無いと納税の時期に、税金を支払えなくなる人も少なくありません。
納税期限が近付いてから慌てない為に、納税について正確に把握することが大事です。
■確定申告の期日と納税日
動物病院を含めた個人事業主にとっての「確定申告」とは、1年間の売上と経費から税金を自分で計算(確定)して、税務署に申告・納税することを言います。
簡単に言えば、その年に納めるべき税金を計算することです。
ほとんどの「確定申告」が、税金を納めることになるので、個人事業主にとっては頭の痛いことです。
例を挙げて説明すると、2016年の1月1日から12月31日までの所得から税金を計算して、翌年の2017年2月16日から3月15日までの間に税務署に「確定申告」を提出して、「納税」を済まさなければならないのです。
このタイムテーブルは、毎年変わることなく繰り返されますが、期日になる3月15日が土・日の場合は、翌日の16日または17日が期日となります。
前年末に締めてから、期日の3月15日まで2ヶ月半あるので、この間に納税に必要なお金を用意していなければなりません。
所得税は一括納付が原則です。
■所得税の納付の仕方について
確定申告で納めなければならない所得税が決まったら、ジタバタする事はできません。
前年の12月31日までの売上と経費から計算した所得税が、予測していたよりも多額になったからと言って、後から何らかの操作をして減らす事は出来ないのです。
納付の仕方が3つあります。
① 納付書に必要事項を記入して、所得税の全額を記載して税務署に直接現金で納付するか、金融機関で納付書と現金(口座から出金して)で納付します。
② 前年にすでに確定申告の経験がある場合は、確定申告書と一緒に納付書を送ってくるので、その納付書にバーコードがあった場合は、コンビニでの納付が可能になります。
③ 税務署のe-Taxを使用して納付データを作成し登録することで、インターネットバンキングやダイレクト納税(電子納税)が出来ます。
税務署が大変混み合う時期自宅で申告と納税が可能になります。
■所得税の分納について
先に聞いた通り、納税は3月15日までの一括払いが基本です。
しかし、どうしても1回で全額を払えない場合、または3月15日には納付できない時は、納付日を延ばすことが出来ます。
① 【延納】
2回に分けて納付が可能です。確定申告書Bの右下に「延納」の欄があるので、延納したい金額を記入すれば5月31日まで延ばすことが出来ます。
しかし、延納額は納税額の半分以下でなければならず、年率1.9%の利子税がかかります。分納する制度はこの2回の延納しかなく、これ以上の分納については税務署の徴収部門と直接相談するしかありません。
数回に分けての納税が可能になっても、「滞納」となるので、利子税よりも高い利息の延滞税が付くことになります。
② 【自動引き落とし】
3月15日までの一括納付が厳しい時、金融機関からの自動引き落としの手続きをすれば、引き落としが約1か月後の4月中旬頃になるので、利子税が付くことなく1ヶ月の猶予が出来る事になります。
「振替納税申告書」に金融機関や口座番号、氏名など必要箇所を書き入れ銀行印を押して、確定申告書と一緒に税務署に提出します。一度自動引き落としの手続きをしたら、停止や変更の手続きをしない限り、毎年自動引き落としになる事を忘れないようにしましょう。
所得税の額に関わらず、年末や確定申告の時期になってからあわてない為に、常に会計士や税理士の意見や指導に耳を傾け、事業費と家計費の区別をしっかり付けるようにしましょう。
また、領収書(レシートでも大丈夫)が無いとどんな理由を言っても税務署は納得しません。事業の経費になるもの、ならないものの区別を、常日頃からはっきりとしておきましょう。