動物病院を開業するまで、「消費税」とは何か買い物をした時に商品代に掛けられている税金という知識ぐらいしかなかったかもしれません。
しかし、動物病院で診療を始めたら、動物の診療に対して消費税を預かる立場になり、医薬品や備品を買うと当然、消費税を支払っています。
事業者として、事業所税や所得税などいろいろな税金がありますが、一番分かり辛い税金が「消費税」になりますから、よく知っておくことが必要です。
■ ペットの医療費には消費税がかかります!
私達人間が病気になって病院に診察に行っても、その診療に消費税はかかりません。
しかし、家族と同じ大事なペットは、悲しいことに法律上は犬や猫ではなく「物」として扱われます。
命を持った動物ですから、病気になったりケガをしたりすれば動物病院に連れていきます。
治療費や診療、処方薬、手術と人間並みの医療費を必要とする場合もありますが、ペットへの医療行為はサービスと同じで、消費税の課税対象になります。
動物病院の診療費は自由診療で、病院によって診療代や治療費、薬代は異なってきます。
飼い主が動物の診療代金を支払う時の明細には「消費税」の記載があり、含んだ合計金額を支払っています。
動物病院は、飼い主から受け取った診療代金に含まれる消費税を、「預かり分」として納税しなければならないのです。
■ 消費税を納めるまでの流れ
理解しにくい「消費税」ですが、動物病院を開業したら必ず付いてくる税金の一つなので、消費税に関わって、国税として納めるまでの仕組みを知っておくと、余分な納税をせずに済むことも有ります。
開業すると、物を購入するときには消費税を収めた(1)ことになり、診療費を受け取ったときには、消費税を預かっている(2)ことになります。
この(1)と(2)の合計額の差で消費税を収めなければならないか、先に納め過ぎているから還付請求するかが決まります。
●開業時に多くの医療機器を購入して、支払った消費税の合計が100万円になったが、その年に預かった消費税は50万円になった場合は、差額50万円分多く支払っている事になるので、50万円の還付請求できます。
●備品の購入などが少なく支払った消費税は30万円で、診療費の預かり分消費税は70万円になった場合は、差額の40万円の納付が必要になります。
簡単に分かりやすく書きましたが、消費税の計算式はもう少し複雑で、次の方法があります。
①原則課税の計算式
消費税の納付額=課税売上に係る消費税額-課税仕入れ等に係る消費税額(実額)
②簡易課税の計算式
消費税の納付額=課税売上に係る消費税額-課税売上に係る消費税額×みなし仕入率
「簡易課税の計算式」に使われる「みなし仕入れ率」は、業種によって異なっていて、動物病院はサービス業に該当するので、50%のみなし仕入れ率になります。
わかりにくい消費税、わからないままにせずに顧問税理士と常にコンタクトを取るように心がけて、修正申告や還付忘れの無いようにしましょう。
自分の動物病院の経営状況の把握に努めるのも、責任者である獣医師・院長の役目です。