獣医が知っておくべき再生医療の知識とは?

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再生医療をご存知でしょうか?
組織や臓器の元となる細胞を自分自身から採集して体外で培養し、病気や怪我の治療に活用する医療技術のことです。まだ治療法が確立されていない病気や怪我に対する新しい治療法として世界で研究が進んでいます。
再生医療は人間に対するものだけではなく、動物に対しても有効な治療法として注目されています。

 

○再生医療とは?

再生医療で重要なポイントは、いろいろな細胞に変わる能力を持っている「幹細胞」です。幹細胞といえば、現在でも治療法が確立されている骨髄バンクは、血液の元となる造血幹細胞を患者に移植するという方法が有名です。
また、心臓や腎臓などの臓器が機能不全になった場合には生体や脳死の診断を受けた人から臓器移植が行われてきました。しかし、臓器移植には問題点もあります。
まず、臓器を必要としている人(需要)は多いが、臓器を提供してくれる人(供給)が少ないということ。そしてもう一点が移植をしても拒絶反応が起こる可能性があり、せっかく移植した臓器が機能を果たさないということです。これらの問題点を解決できる治療法が再生医療です。
幹細胞の中で注目をされているのが受精卵から得ることができるES細胞です。このES細胞は万能細胞とも呼ばれており、再生能力が高いことが特徴です。さまざま細胞になることができるため実用化も進んでいます。
ES細胞をつくるためには受精卵が必要となります。受精卵とは、精子と卵子が結合した細胞です。受精卵はまだ1個の細胞でしかありませんが、成長すると人間となる細胞です。よって倫理的な問題も今後の課題となっています。

 

○動物に対する再生医療の実際

動物の再生医療の現場では、日本国内で承認されている動物用再生医療の製品はありません。(2016年時点)
動物病院で再生医療や幹細胞治療を実施している病院もありますが、獣医が調製した材料による自由診療になります。
具体的には、骨折した箇所に幹細胞を注入することで幹細胞が骨膜や骨細胞、そして血管に分化し、骨の修復を早めます。

 

○再生医療を受ける上での治療点

同じような再生医療での治療をその動物病院がどの程度の経験があるのかお客様は調べておく必要があります。よって動物病院は成功した例、失敗した例、状態が変わらなかった例を集計してグラフで示しておきましょう。
また、再生医療での治療法は肺塞栓により死亡した例もあります。統計データからリスクを確実に説明しておくことで、後のトラブルを避けることができます。

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