経営スタイルを、個人事業にするか法人にするか、メリットは売上の高さと費用の額で決まります。
売上が数百万円以下になりそうなら、個人事業主として動物病院を経営するメリットが大きくなります。
個人事業主のメリットについて、お話しましょう。
■個人事業主にメリットを感じるケースは?
・初めから大きな事業規模を考えていない
・院長と青色専従者(家族)で始める場合
・見積もり売上規模が数百万円程度の場合
院長と奥さんで動物病院を開院するときは、個人事業主としてスタートするのが良いでしょう。
法人として創業する場合、株式会社か合同会社として登記すると思いますが、6万円~20万円程度の登録免許税がかかりますし、事業内容の変更、廃業のときにも、登録免許税を支払うことになるのです。
個人事業の場合には、『登記』という形をとりませんから、登録免許税が必要ありません。
廃業のときにも届出のみです。
“まずは開業して常連のお客さんをつくりたい”と考えている場合には、個人事業主のスタイルなら始めやすいですね。
・ある程度の収入が見込める
・病院としての財産を引き継ぎやすくしたい
そんな時期が来たら、法人化を検討すると良いでしょう。
■院内の経費について
個人事業として開業した場合、設備投資など大きなものだけでなく、事業に関連したいろいろな費用が認められています。
自宅と同じ建物で診療している場合には、光熱費を建物面積の比率や時間で配分出来ますし、院内で使う細々とした備品についても、『事業に必要』と認められるものは、経費にできます。
診療に必要な消耗品、事務用品、清掃用品などはもちろん、経費に出来るものは多く、領収書を残しておくことと、税務署を納得させる用途の説明があれば良いのです。
利用者さん向けのウォーターサーバー費用、雑誌、新聞代なども含めることが出来ます。
ただ、ノートパソコンなど、院外でプライベート使用が見込まれるものは、家事按分が必要になるかもしれません。
税理士に相談しておけば、確定申告のときに『経費』に出来る範囲を、確実に把握出来ますね。
■個人事業での開業を迷ったら税理士に相談!
医師の平均年収は、40歳で約639万円(厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査)です。
ちょうど、個人事業にするか法人にするか迷う金額帯です。
設備やスタッフ人数を絞って、この水準を考えるなら小回りの利く個人事業にメリットがあります。
ある程度の事業規模にして、収入部分を1,000万円以上に出来るなら法人にメリットが出て来るでしょう。
税理士に具体的な金額を出して相談すると、事業計画がより綿密になりますね。