動物病院は、院長と1~2名のスタッフからスタートすることも可能ですが、事業拡大にはスタッフの人数を増やすことも必要です。
ただ、従業員がいると、届出や会計処理の手間が、思いのほかかかります。
個人事業主が、従業員を雇うことで発生する届出や税についてお話ししましょう。
■『源泉徴収』は毎月10日までに納付
従業員の所得税・住民税は、源泉徴収のかたちで事業所が預かり、納税することになっています。
年末調整では、保険控除や住宅ローン控除などがあれば、事業所を通して申請し、還付を受けます。
源泉徴収は、事業者が預かって納めるのですが、給与から天引きしますから、『源泉徴収税額表』をもとに、毎月10日までに納めます。
従業員が10人未満の規模であれば、1月・7月にまとめることも出来ますが、まとまれば額が大きくなり、現金のコントロールがしにくいと感じるかもしれません。
青色専従者がいる場合にも、同じく源泉徴収が必要です。
■従業員を雇うと労働保険加入必須
青色専従者以外に従業員を一人でも雇うと、労働保険に加入しなければなりません。
従業員を雇ったら、10日以内に『保険関係成立届』、50日以内に『概算保険料申告書』を提出します。
専従者だけなら労働保険も社会保険も不要ですが、仕事の内容が専従者だけでまかなえないケースも考えられます。
従業員を雇わなければ、診療内容の質が保てなくなる心配がありますし、事業拡大には避けて通れません。
事業規模に見合った従業員数の確保が必要になるでしょう。
■従業員の給与計算について
従業員を雇うと、税金、給料に応じて支払う保険料などが発生し、給料から天引して支給します。
従業員の労働実態の根拠としては、労働者名簿、労働時間の記録(出勤簿)が必要になります。
給与計算に必要な社会保険料の金額は、こうした労働条件を元に決められます。
ですから、人件費の予算を組むときにも、税金や保険料のことまで考えておくと安心です。
従業員をどういった形で雇うのか、税理士に相談できると、具体的な金額を間違いなく把握することが出来るでしょう。
■院長先生が労務・税務を扱うかも…
公簿を用意して労務、税務の業務を正確にこなすのは大変ですし、専門家に依頼するのが安心です。
動物病院を経営する院長先生は、個人事業主であると同時に、診療業務を第一に考えなければなりません。
患者さんに満足してもらえる診療やサービスに専念できれば、事業も軌道にのり発展が見込めます。
動物病院の経営に詳しい税理士に、お金の話を任せられたら安心ですね。