開業したての個人事業主は、初めてのことばかりで不安や心配なことも多く、納税しなければならない金額はどれぐらいになるのか気になってしまいます。
しかし、納税は利益があっての問題になるので、当初は納税よりもまず事業を軌道に乗せるのが先だと思われますが、確定申告の時期になってから急に焦ってもいけないので、納税の仕組みを知っておくのは大切なことです。
■個人事業の所得税は「累進課税」
動物病院を開業する時、多くの医療機器や検査機器、設備投資に費用がかかる為、初年度の利益はほぼゼロになってしまいます。
例え、課税総所得額がゼロであっても、確定申告で所得税のゼロ申告を税務署にしておくことを忘れないようにしましょう。
事業実態の報告になり、確定申告を忘れていない事を税務署に示す為に、期日までに申告しましょう。
事業開始2年目以降は、所得税の納付が必要になるかもしれません。
日本の所得税は「累進課税」で、課税所得額が多くなるほど税率が高くなっていきます。
課税所得額とは、総所得から経費を差引、基礎控除、配偶者控除、社会保険料など各種所得控除額を差引いた金額の事です。
この課税所得額によって掛ける税率が決められています。
所得税額(納税額)・・・課税所得額×税率-控除額で算出した金額が納税額になります。
課税所得額 |
税率 |
控除額 |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円~330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円~695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円~900万円以下 |
23% |
636,000円 |
900万円~1,800万円以下 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円以上 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円以上 |
45% |
4,796,000円 |
【例】課税所得額が800万円の場合
800万円 × 23% - 636,000円 = 1,204,000円・・・所得税額
所得税の納税額はこの計算に当てはめれば、納税額を知ることが出来るので、確定申告前にどれぐらいの金額になるか、知ることが出来ます。
■所得税以外の税金を考えよう!
課税所得額から算出する「所得税」以外にも、納付すべき税金はあります。
【住民税】
課税所得の一律10%
【個人事業税】
事業所得が290万円を超えるとかかってきますが、事業の種類によって税率は異なっていて、動物病院の場合は5%になっています。
【消費税】
課税売上高の8%ですが、売上1000万円以下の場合は、非課税になります。
【その他】
社会保険料(健康保険料・厚生年金料)が必要になります。
消費税の開業後2年間は免除されることや、その後の課税所得が大きくなった時に開業費を任意償却することで節税するなど、納税額を少なくすることは容易なことではありません。
■税金の問題は税理士とのコミュニケーションで解決しよう!
動物病院の開業準備にかかった経費「開業費」は節税の為に、事前から把握しておくことが必要です。
開業初年度の確定申告は、収益よりも経費の方が多くなり赤字である事が多く、ゼロ申告になる可能性が高くなります。
初年度にかかった設備機器の消費税支払いが多額で、売上で預かった消費税が少ないと還付を受けることが出来ます。
動物病院を開業する前から、税理士やコンサルタントとのコミュニケーションを良好にしておきましょう。
適切な経理処理や納税の指導、経営の健全化を図るのが顧問税理士の仕事です。
納税の不安や収支の問題、改善する点など気になる事が発生したら、税理士に相談します。
丸投げで任せるのではなく、一緒に動物病院の経営目標を達成していくようにしましょう。