動物病院の開業年度「消費税」ってどうしたらいいの?

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新規開業する動物病院は、設備投資、開業準備に多額の経費がかかり、その支払には消費税が含まれています。

また、開業して診療を始めたら、患者が支払う診察・治療費にも消費税は含まれ、預かることになります。

動物病院がその年に支払った消費税と、預かっている消費税の差額からその年度に納付すべき「消費税」が決まります。

■消費税の計算方法は「原則課税」「簡易課税」の2通り

新規開業した個人事業者(新設法人含む)は、消費税の基準期間(税務署が課税事業者か免税事業者か判定する期間)が存在していない為、設立1期目・2期目は原則的に免税事業者になります。

動物病院を開業してから2期(2年間)は、消費税を納付しなくても良いとされています。
しかし、動物病院を開業するとき、多くの設備、医療機器などを購入しているので支払った消費税は多額になっています。

● 預かった消費税から支払った消費税を差し引いて計算する・・・「原則課税」

開業がその年に後半になると売上が少なく、預かった消費税よりも支払った消費税の方が大幅に多くなっているので、「原則課税」方式を選択することで、消費税の還付を受けることが可能になります。

● 支払った消費税は計算せず、預かった消費税(売上の)に業種ごとに決められた一定率を掛けて算出した額を、支払った消費税と「みなし」て計算する・・・「簡易課税」

実際に支払った消費税が、「簡易課税」方式で計算した額よりも多くても簡易課税を選択している場合は、還付を受けることが出来ず納税しなければならない場合があります。

動物病院の開業年度の消費税の納税は、「原則課税」方式を選択する方が、還付を受ける場合が多いので、大幅な節税対策になります。

■「原則課税」から「簡易課税」への変更

新規開業年度に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、原則課税を選択した場合、初年度に大幅な消費税還付を受けることが出来ましたが、一度選択した課税方式は2年間(2期)変更することが出来ないので、翌年は納税となる事がおおくなります。

年末に開業して医療機器の設置や増設を初年度と翌年に順次設置することで、節税することが可能になりますが、2年目の納税は計算に入れておいた方がよいでしょう。

3年目になると、大きな設備や機器の購入は無くなる為、支払った消費税が減り預かった消費税の方が多くなります。

この場合、「原則課税」から「簡易課税」に変更することで、納税額が少なくなる可能性がある為、所轄の税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出して節税しましょう。

■消費税の計算方式は先々を見越して選択しよう

動物病院の開業は多額の経費が発生するため、当初の消費税の計算方式は「原則課税」が還付・節税に有利であると言えますが、翌年は納税が発生する可能性が高くなります。

また、設備投資の金額や予測される売上など、その年だけでなく翌年、翌々年と先を見越した消費税の計算方式選択が必要です。

納税と節税、売上向上、経費削減など事業の経営には、難しい問題が多く発生します。

顧問契約している税理士や会計士、経営コンサルタントなど数字のプロにすべて任せるのではなく、院長自らも税の仕組みを知ることで「開業」から「経営」に着実に移行していきます。

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