動物病院を開業してから、しばらくの間はコンスタントに集患出来ていたので「これで軌道に乗る」と考えていた頃、パタリと来院が減ってしまう事が有ります。
新規開業の時は、お客様も新しい動物病院がどんな所か興味があって、獣医師の診察技術や対応を見る為に訪れます。
「良い先生だし、キレイな待合室にスタッフも感じが良いんだけど…」それだけであれば、今まで行き慣れた病院を変える必要性が無いのです。
お客様に今までの病院よりも、「ここの方が良い」と思っていただく理由がなければ経営は行き詰っていきます。
■ 初心「経営指針」の再確認と共有
動物病院を開業するまでは、大変な作業も夢の実現に向けて一生懸命走り続けてきました。
実際に開業したら、宣伝効果もうまくいって当初から患者さんが来院してくれて、忙しく働き続けてきたのに、院長がある時気付くのです。
忙しさが減っていること、それは診療に慣れてきたからと思っていたが違う、来院者数が減っている事にやっと気付いて、スタッフの話や院内の様子に目が行っていなかったことにショックを受けるのです。
しかし、この時点で気付いた院長は自院の経営を見直すチャンスだと、喜ぶべきです。
経営状況が厳しいことに気付くことは、再度立て直す行動を起こすことが出来ます。
経営の難しさと見直しの必要性、そして何よりも開業当時の思い「経営指針」と「こうありたい」と思い続けたことが「今できているか?」を、自身に問うことが出来ます。
経営が厳しくなると病院全体に活気が薄れ、重苦しい空気に包まれます。
これでは、お客様は「来たいと思わない」事を全員で共有し認識して、改善と立て直しに行動を起こさなければなりません。
■ 動物病院の経営立て直しに何をするか?
経営が行き詰った時に、真っ先に考えるのが人件費の削減です。
医療機器やリース料、借入金の返済や賃借料を削ることは出来ません。
薬品や診療に必要なものを購入しないわけにはいきません。
そうなると、固定費の大部分を占める人件費に目がいってしまいます。
しかし、開業当時から一緒に頑張ってきて、院長や病院のことを一番知っているスタッフを解雇するのは、得策ではありません。
新規借り入れも難しいとなれば、収益を上げるしかありません。
やはり、出発点に立ち戻り「集患・集客」に行動を起こしましょう。
① しばらく来ていない飼い主宛に「様子伺い」のカードを出して再診を促す
② 新聞折り込みチラシを診療圏よりも広範囲にいれる(診療風景や待合室などのカラー画像を使う)
③ 待合室や院内外の見直しと衛生管理の徹底、お役立ち情報カードなどの設置
④ ホームページの見直しとコンスタントな情報更新を徹底する
⑤ 待合室に動物のためのグッズやフードの小物販売やサンプル配置
また、経営の悪化に税理士の指摘や指導があったかが問題になります。
毎月の月次報告や会計処理に関わっていた税理士は、経営状況の的確な分析と報告、指導をしなければなりません。
その為に顧問料を支払っているのですから、院長は税理士とよく話し合い、経営立て直しの協力を得るようにしましょう。