個人事業主はどんな業種であろうと、利益を追及する為に収益の増加と経費抑制に力を注ぎます。
漠然とした事業計画では、どれぐらいの売上で経費の上限をどれぐらいに押さえれば、収益がいくらになるのか見えてきません。
黒字経営を意識することが、個人事業主の経営には大変重要になってきます。
■「損益分岐点」って何?経費の上限って?
経営規模の大小にかかわらず、自分の経営している事業がどの程度売り上げれば黒字になり、どれぐらいだと損失(赤字)になるのかを知る為の指標を「損益分岐点」と言います。
「損益分岐点」は、利益がプラスでもマイナスでもないゼロ(点)になる時の売上高の事を言い、売上=経費、つまり、利益=0(ゼロ)の時です。
売上と経費が同じ地点のことであり、これより増えれば黒字で、これよりも利益が少なく経費が多くなれば赤字になるのです。
このことから、経費の上限は「損益分岐点」であると考えることが出来、この損益分岐点が経費の使用限度として資金調整するのが望ましいでしょう。
■「損益分岐点」の仕組み
損益分岐点は、経費から知る必要があります。経費には売上に多くても少なくても、常に一定の費用が掛かる「固定費」と、売上に応じて変動する(売上が増加すれば経費も増加する)「変動費」に分けることが出来ます。
・固定費・・・家賃やリース料、従業員給与、広告宣伝費等
・変動費・・・医薬品、診療消耗費、外注費等
固定費と変動費を足して「総費用」を算出して、図にしたほうが分かりやすくなるのですが、【売上高と費用が交差する点=損益分岐点】となります。
計算式に表すと、次のように表すことが出来ます。
● 損益分岐点売上高=固定費/1-変動費/売上高、または
● 損益分岐点売上高=固定費÷{(売上高-変動費)÷売上高}
売上がゼロの場合は経費の変動費も発生しませんが、固定費は売上がなくても必要なので、固定費の分だけ赤字になります。
固定費は売上が多くても少なくても同じである事から、売上が大変多くなった時には、変動費が多くなっても経費全体が多くなるわけでは無いので、売上高が大きくなって黒字になるのです。
■「損益分岐点」を知ることで、売上目標を明確にできる
事業を継続して経営していくには、事業主が売上目標を明確に意識しているかが大切になってきます。
黒字経営の為に目標売上を達成しなければなりませんが、同時に経費の管理調整もしていかなければなりません。
固定費は売上に関係なく一定である事から、この固定費が小さくなれば売上は大きくなり利益率が高くなります。
変動費の削減をするよりも、固定費の削減に取り組むことが利益を多くし、資金のやりくりが余裕をもってできることになるのです。