犬猫などコンパニオンアニマル(伴侶動物)と言われるようになった昨今、動物は家族と同じ、それ以上の存在として大切に一緒に暮らしている飼い主も多くなりました。
飼い主が求める動物病院への要望や期待は、動物病院の技術や考え方の相違から、時にトラブルが発生してしまいます。
獣医が飼い主の気持ちに寄り添って診療しているか。
治療方針とそのリスク説明や飼い主の意向にちゃんと耳を傾けているか。
獣医の延命の為の過剰な医療行為が、返って飼い主の不信感と怒りに繋がることがあるのです。
■獣医と飼い主の治療方針の相違
動物病院を訪れる動物は、健康維持のワクチン接種や狂犬病注射、定期検診以外は当然ながら怪我や病に苦しむ犬猫たちです。
飼い主は家族(犬猫等)の苦しみを取り除いて欲しいと願っていますが、言葉を話せない動物の症状は獣医に尋ねるしかありません。
いわば、獣医に言われるまま治療や投薬を続けるのが、最善の方法だと最初は考えています。
しかし、投薬を続けても改善しない、もっと症状が酷くなった時、獣医に対して不信感を持つようになります。
獣医が不要な治療をしている訳ではありませんが、治療が適していない可能性もあります。
飼い主に症状の説明をして、治療の説明と同意を得ているか、命や健康へのリスク説明がされているか、獣医側からすれば「説明しなくても分かるだろう」は飼い主側には通じません。
また、家族である犬猫が苦しむ治療を飼い主が望んでいるか、獣医と飼い主の行き違いは、トラブルになって、「儲ける為に過剰な医療行為をしている」などと噂が広がる可能性があるのです。
獣医に100%の成功もなければ、飼い主の満足100%も無いのです。
飼い主の獣医への不信感や怒り、トラブルは、動物病院の経営を続ける最大のリスクになりかねません。
■動物病院のリスクマネジメントとは?
動物病院は常に動物の命と向き合って仕事しなければなりません。
それと同時に、予期せぬ事態が起こりうる可能性も十分にあることを理解し、もしもの事態に陥った時には、真摯に受け止め結果に至った課程を飼い主に誠意をもって説明し、病院全体で問題点の共有を図り再発防止と対策を講じる為に、全力で取り組まなければなりません。
起こりうるリスクを最小限にして、より高い安全性と診療技術を追及する院内システムの構築が急務になります。
リスクマネジメントは、獣医である院長一人で解決する問題ではなく、スタッフが一丸となって、同じ意識と方向性をもって職務に取り組むことで、信頼を得ることになるのです。
■選ばれる動物病院である為に「P・Q・S」を大切にする!
動物病院において獣医師と経営者の両立は、マネジメントに欠かせない問題です。
集客する「マーケティング」機能と、医療技術の向上と取組「イノベーション」を同時に進めていかないと動物病院の経営が向上する事はありません。
お客様である飼い主が納得し喜んでお金を払ってくれる、選ばれる動物病院を目指さなければならないのです。
P(プライス)、Q(クオリティ)、S(サービス)の観点から、現状を見直し改善していくことが大切になるのです。