犬猫中心としたペットブームは、モルモットやハリネズミなどの小動物やエキゾチック動物まで飼い主の好みは多種多様です。
どんな動物であっても、家族のように大切にしている人にとって、動物病院の存在は必要不可欠になっています。
また、家畜農家や競馬場、動物園など動物を抱えているところでも獣医師は、重要な存在です。
■ 獣医学部への入学自体が過酷な狭き門!
獣医になるには、獣医学部のある大学に入学して6年間の勉強をしなければなりません。
まずは、獣医学部に入学する時点で狭き門を潜り抜けなければならず、全国に16大学あっても、定員数があまりにも少ないのです。
●国立大学総定員数・・・370名
●私立大学総定員数・・・560名
各年次に全国で獣医師を目指す為に、勉強して受験しても年に合計930名しか獣医学部へ入学することが出来ません。
募集人員が少ないので、倍率は非常に高く約24倍、またそれ以上とも言われています。
難易度の高さから比較すると、医学部に次ぐ難関として知られています。
実際には高校からの現役合格者で、推薦(大学指定校・AO・公募)入試合格者を含んでも、現役約34%、浪人生約60%となることからも、合格することの大変さがわかります。
総大学受験者の上位6%以内の偏差値が必要といわれる難関なのです。
■ 獣医学部6年間にかかる費用も莫大になる!
獣医師になるには、6年間の獣医学部で学んだ後に資格試験に合格しなければいけません。
その6年間にかかる費用は、かなり大きな金額になります。
【私立5大学】
・入学金(入学時)・・・25~30万円
・年間授業料他実習費等合計・・・約200~250万円(6年間1,200~1,500万円)
・その他に科目ごとの教科書代(3~5万円)の他にも、勉強する為に必要な参考書代など
【国立大学】
国立大学の場合は、一律に文部科学省によって標準額が決められている為、どの大学でも同じ金額になります。
・入学金(入学時)・・・282,000円
・授業料(初年度・2年次以降も同額)・・・535,800円(6年間3,214,800円)
・その他に科目ごとの教科書代(3~5万円)、諸経費等(3万円程)、必要な参考書代など
・大学によって、パソコンが必須となっている場合があり、持っていない時には購入する必要があります。
この金額を見ると、私立大学と国立大学でかかる費用は、かなりの差があります。
しかし、どの大学に入学しても自宅から通学することが困難な場合が多いので、一人暮らしするか寮に入るなど、生活費も必要になります。
また、獣医学部は直接動物の飼育をしたり、研究などに時間が取られる為に、アルバイトなどで費用を賄うこともなかなか出来ません。
その為、親にかかる金銭的な負担は大変大きいと言えます。
■ 命と向き合う精神的苦痛を乗り越えて!
難関を突破して、獣医師になる為の勉学に励みますが、教科書で勉強するのは全く問題なくても、実習(実験)で挫折を味わう学生が相当数いるといいます。
生きた動物を使った実習や、命にかかわる現実を目の当たりにして、精神的な苦痛に耐えられなくなるのです。
その何十、何百という動物の犠牲や学生の苦痛があってこその獣医師としての責任の重さや命の大切さを身をもって経験していくのでしょうが、この苦痛を乗り越えなければ獣医にはなれません。
精神的肉体的な苦しみを乗り越えて、動物の命にかかわる仕事に就くことを止められなかった人だけが、獣医師になることが出来るのです。
また、実際に獣医師の国家資格に合格してからも、動物医療は進歩し続けていますから、新たな勉強の連続になります。
獣医師の技術や勉強、研究に「これで良し」は無く、常に新しい治療方法、医薬品の可能性、飼い主への配慮など、学び続けなければならず、命に携わる難しい仕事と言えます。