獣医師になったからには、自分の動物病院を持つことを目標に数年間の修行をして、資金的にも何とか目途が付いてくると、いよいよ動物病院の開業が現実味を帯びてきます。
どこでどんな動物病院を開こうかと楽しみだけが先行して、行き当たりばったりの思いつきで動いていても無駄な時間が過ぎていきます。
どのような手順で、どんな流れで進めていけば無駄なく上手く開業出来るのか、知識を持っていると開業までにかかるお金と時間を有効に使うことが出来ます。
■動物病院開業までの流れ
動物病院開業が可能になってきたら、とにかく開業までに行うべき事、その流れを良く理解して動くことが大事になります。
開業支援サポートを得意とする税理士などを利用することで、開業までスムーズに進めることができます。
① 動物病院開業の目標(基本方針)の決定
② 物件探し(自宅兼動物病院、動物病院新築、テナントなど)
③ 診療圏調査の実施
④ 事業計画書の作成
⑤ 金融機関などへの融資の申し込み(④が必要になる)
⑥ 不動産契約の締結
⑦ 動物病院の建築と内装
⑧ 医療機器の選定と設置
⑨ 必要なスタッフの募集
⑩ 開業宣伝広告、ホームページの開設
⑪ 保健所、税務署など諸官庁への開業届出
⑫ いよいよ開業
順次進めていく手順を羅列しましたが、1項目毎に時間も費用も掛かります。
開業する獣医師自らすべてを行おうとすれば出来ないことはないでしょうが、専門家のサポートを受けてより細やかな「診療圏調査」や「宣伝広告」の有効な手段やホームページの充実など、広い視野で取り組んでいくことが、無駄な時間とお金を掛けずに成功する近道になります。
■動物病院開業に必要な届出・手続きは専門家の手を借りる
動物病院を開業するには、正式な届出が必要になります。
届出も院長自ら調べて最小限の費用で手続きすることが出来ますが、間違いがあったり届出日を間違えたりすると、返って時間と手間とお金がかかることになります。
個人事業主の開業支援サポートを行っている税理士が事業主の希望に合わせて、料金を提示しながら必要書類を必要な期限内に作成してくれるので、しっかりと打ち合わせをしてお任せすることをおすすめします。
記載内容の確認や打ち合わせは、院長の責任として必ず行いましょう。
税理士にお任せすると、空いた時間で開業に向けたスタッフとの打ち合わせ、内装の点検や待合室のセッティング、来院者への模擬練習などに力を入れることが出来ます。
開業日程が決まれば、行わなければならないことは山ほどあります。
時間を有効に使って、患者に喜ばれる動物病院への準備をしていきましょう。
■個人で動物病院を開業する時の届出
個人事業主として動物病院を開業する時には、保健所、税務署、その他従業員を雇う場合に届け出る必要のある書類があります。
【家畜保健衛生所】
飼育動物診療施設開設届出書、診療施設の構造設備の概要、エックス線装置に関する構造設備概要、の3種類の書類を開設日10日以内に届出します。
【所轄の税務署】・・・個人事業主の場合
① 開業届出書(1ヶ月以内)
② 青色申告承認申請書(2ヶ月以内)
③ 給与支払事業所等の解説届出書(1ヶ月以内)・・・従業員を雇うとき
④ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書(提出翌月から適用になる)
⑤ その他、必要に応じて提出する届出書があります。
【各都道府県税事務所】
① 開業開始等申告書(開業等届出書)・・・各都道府県が定める日
これらの届出の他に、従業員を雇う場合は社会保険や労働保険関連書類の提出が必要になります。
開業サポート担当者と事前に打ち合わせして、適時必要に応じて提出するようにしましょう。