動物病院を開業して、従業員を雇うことになったら当然給料の支払いが発生します。
従業員の雇用は、給料支給だけが事業主の支払義務ではありません。
従業員の雇用形態では無く、勤務時間によって雇用保険、社会保険に加入しなければなりません。
従業員の給料から社会保険料等が控除されますが、その控除で保険料全てが賄えるわけでは無く、従業員を雇っている動物病院も社会保険料の会社負担分を支払うことになります。
■「法定福利費」って何?
「法定福利費」は、会社が保険料を負担することを義務付けしている、社会保険料と労働保険料の事をいいます。
社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料の事を言い、労働保険料は、労災保険料と雇用保険料を言います。
これらの保険料は、従業員負担と会社負担に分けられており、会社負担分の方が多くなっています。
【社会保険料】
・健康保険料(介護保険料含む)・・・半額会社負担
・厚生年金保険料・・・半額会社負担
・児童手当拠出金・・・全額会社負担
【労働保険料】
・労災保険料・・・全額会社負担
・雇用保険料・・・一定割合会社負担
給料から控除される社会保険料は大きな負担に感じますが、従業員の負担分よりも会社負担分の方が多くなっており、会社が全額負担している法定福利費もあるのです。
■法定福利費の事業主負担率
社会保険料等の保険料率は、社会情勢や経済状況によって改正されることも多いので、最新の保険料率で計算しなければなりません。
【社会保険】2016年9月
社会保険料 保険料率 事業主負担 従業員負担
健康保険(協会けんぽ) 9.96% 4.98% 4.98%
介護保険(協会けんぽ) 1.58% 0.79% 0.79%
厚生年金保険料 18.182% 9.091% 9.091%
児童手当拠出金 0.2% 0.2% ―
【労働保険】
労働保険料 保険料率 事業主負担 従業員負担
雇用保険 11/1000 7/1000 4/1000
労災保険 事業の種類によって異なります。 ―
■社会保険の適用事業所とは?
健康保険や厚生年金保険に加入しなければならない事業所を適用事業所と言います。
個人事業であっても適用事業所になるのか、任意適用事業所なのかで法定福利費の会社負担に違いが生じます。
一定の従業員数が5人以上であれば、強制適用事業所となり「社会保険適用事業所」の手続きが必要となります。
それよりも従業員数が少ない事業所であれば、適用事業所になる必要はなくなり、従業員は自分で国民健康保険等に加入することになります。
社会保険適用事業所になれば、社会保険の会社負担分が発生することで、会社の経費(法定福利費)はかなり増加することになり、労働保険料の計算や各種届出等、事務的業務も増加することになります。