「費用」と「経費」ってどう違うのか、はっきりと理解している人って少ないのではないのでしょうか。
「費用」というのは、有形無形関係なく「モノ」に支払いしたお金で、会計上使う言葉であるのに対して、同じお金を支払った場合でも税金の計算上使われる費用が「経費」になります。
分かりにくいですね~。
会社がお金を支払った費用が、必ずしも会社の収益に必要な経費にならないということです。
■お昼の弁当代は福利厚生費として経費になるか?
患者さんが午前中多くなって、お昼休憩をかなり過ぎてしまいました。お昼ご飯としてお弁当を3個院長の奥さんが買って来て、院長と受付をしている奥さん、スタッフAさんと3人で食べました。領収書を渡されて「経費で処理して」と言われました。領収証には、単価500円の弁当3個1500円と3人の名前が書かれています。
このお弁当代は、経費になるのでしょうか?
答えは「経費にならない」です。スタッフAさんの分も含めていますが、この動物病院のパートスタッフはAさん、Bさん、Cさんと3人います。たまたまAさんが、この日に当たっただけで、全員が同じ恩恵を受けている訳ではありません。
Aさん以外は院長夫婦です。Aさんがいなければ、院長夫婦の普通の昼食となります。
Aさんに弁当を出すのは、スタッフに不公平となる為、この場合の費用は院長のポケットマネーか、奥さんが家庭費の中から出すのが正しい方法になります。
■経費にならない事業主にかかる費用
法人の場合は、人間ドッグや健康診断料など、社長や役員であってもかかった費用はすべて会社負担の経費で処理できます。
しかし、個人事業主である院長の健康診断や人間ドッグ、夜間診療時の夜食代、院長と青色専従者(妻)2人の旅行費用(研修旅行の名目でも)など、これらは動物病院の経営に影響する院長の体調や管理にかかわる費用と考えられそうですが、経費にすることは出来ません。
院長にかかる費用は、院長個人が負担すべき費用とされ、接待ゴルフや取引先との飲食などの費用は交際費として経費計上することが出来ます。
■院長個人の損得は無関係で、動物病院の利益につながるかが問題
個人事業主の場合、病院のお金=院長のお金という考えの方が多く、事業と個人の区別が理解しにくい事業主がいます。
経理は奥さんがしているという動物病院も多く、「経費から出して」と言われるスタッフは、なかなか断りにくいものです。
そのような時は、税理士が来院した時や電話がかかってきた時などに、機会を見計らって話を聞いてもらう事をおすすめします。
雇われているスタッフは、小人数の中で院長夫婦と上手くやって行かないと、仕事出来ないのが現状です。
嫌だなと思っている事を我慢してもいけないし、そのまま正しくない処理をしていたら、返って病院の為になりません。
経費や会計処理上の問題点に気付いたときは、顧問税理士に相談してみるとよいでしょう。