動物病院を新規開業する時は、消費税の予定申告をする基準期間(前々年)が存在しないので、事業所設立の1期目と2期目は原則として消費税納付が免除されます。
消費税は、課税期間の基準期間(前々年)の課税売上高が1000万円以下の事業者で、免除されるのです。
しかし、法人の場合は、資本金額、または出資金額が1000万円以上の場合は、基準期間がなくても納税義務を免除しないという特例があります。
■ 「課税事業者」の選択で、消費税の還付が受けられる?
新規開業、新規法人設立した動物病院は、設立2年間は消費税を支払わなくていいのですが、
あえて「課税事業者」を選択することを視野に入れましょう。
新規開業には、医療機器や備品設備の購入で多額の消費税を支払っています。
免除業者の条件を満たしていても、消費税の課税事業者になる事で、多額の消費税還付を受ける可能があるのです。
「税金の還付」を受けるということは、本来納付すべき消費税よりも多い額を納付している事になります。
初期費用として購入した治療機器購入で支払っている消費税が、開業後の診療で受け取った消費税よりも多く支払っているということです。
■ 消費税の還付を受ける為にすること!
「課税事業者」を選択するためには、新規開業した事業者が、開業した課税期間の末日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、開業した日を含む課税期間から「課税事業者」を選ぶことが可能になります。
しかし、一度課税事業者を選択すると、通常の免除期間である2期目も課税事業者となるので納税の義務が発生します。
2年目にも高額な治療器具を増やしたり、レイアウト変更などで収益の消費税の預かりよりも支払いの方が多くなっていたら、還付を受けることが出来ますが、すでに高額治療機器などは購入して支払った消費税が少ないと、納税の対象になります。
【例】
●「課税事業者」を選択せずに、2年間の消費税納付の免除を受ける。
・1年目・・・高額医療機器に支払った消費税150万円、収益で受け取った消費税50万円だった場合、差額の100万円は支払ったままになり還付は受けられません。
・2年目・・・支払った消費税20万円、受け取った消費税80万円の差額60万円の納付をしなくてもよくなります。
●「課税事業者」を選択して、2年間の消費税納付の免除を受けない。
・1年目・・・高額医療機器に支払った消費税150万円、収益で受け取った消費税50万円だった場合、差額の100万円が多く納付したことになり還付されます。
・2年目・・・支払った消費税20万円、受け取った消費税80万円の差額60万円の納付が必要になります。
あくまでも例としてあげましたが、消費税の問題は微妙である為、「課税事業者」の選択は税理士と相談の上で、慎重に選びましょう。