動物病院を開業し、1年くらい経過したころにはペットの来院も増え、繁盛している頃です。そんな時こそ、次のステップに向けたマネジメント力を発揮する必要があります。動物病院のマネジメント能力の向上のポイントをお伝えします。
マネジメントは経営者だけが身につければいいものではない
大企業であれば、従業員数も何千人となりますので、意思決定は経営者はじめ幹部にゆだねられています。ですが、動物病院の場合、大手もありますが、地域で開業されている場合は10人までのところが多いのではないでしょうか。
つまり、動物病院の経営は、経済的な支援者である利害関係者を除外すれば、実務にかかわる人はすべて経営の柱である売上げに直結している人達なのです。
従業員の意識改革も必要
動物病院で獣医師かつ院長かつ経営者が1名、看護師が2名、受付が1名だったとします。マネジメントの基本は、人、モノ、金です。院長が看護師や受付に、薬の在庫状況、来院数、来院目的、予防接種の有無、日々の売上など提出させてもそれが、動物病院の経営にどんな影響をあたえているのか、どんなに貢献できているのかを説明する機会を設けることが必要です。
マネジメントとは、経営資源を組み合わせ、売上げにつなげることです。経営資源は動物病院内のすべての要素であるので、当然、看護師、受付も扱っていることになります。注意したいのは、看護師、受付、事務がマネジメントは院長がする、私たちは実務をしていると勘違いしないことです。
仕事量がうまく配分できているか?
上手なマネジメントをする経営者は、人材の流出を最小限にします。人材が流出する理由としては、このようなことがあげられます。
・仕事量
→受付を1人配置し、受付だけに薬の在庫管理から新規発注までさせている動物病院があります。受付は日々のペットと飼い主への会計、接客で忙しく、日々の締め作業だけで時間がない状況です。受付とは別に、事務職を配置することで、仕事量の流動化と調整ができます。薬の在庫管理や処方は看護師と事務職で、受付は飼い主への会計と接客に特化させるなどする工夫が必要です。
最初は人件費が高いと思われるかも知れません。ですが、受付が疲れ切っていたりすると、それはペットにも飼い主にも伝わり、動物病院自体の経営にも悪影響が及びます。動物病院を大きくしたいと思っておられる場合や、マネジメント能力を向上させたいと思われるなら、受付のほかに事務職も配置すべきでしょう。
まずは経営者自身のまわりから整理整頓
マネジメント能力の向上は、まずは経営者の身の回りから始められることをおすすめします。
・今日しておきたかったのに、できなかった。まあいいや。
これが一番ストレスをためてしまう原因です。連続してくると、まあいいやがもういいやになりかねません。まずは経営者自身のスケジュール管理を見直してみましょう。医療、スタッフ関係、外部スケジュール関係すべてが効率よく連動できていることがポイントです。
・今日しなければいけないこと
・今日絶対にしなければいけないこと
・明日しなければいけないこと
・明日絶対しなければいけないこと
・今日しなくてもいいが明日しなければいけないこと
・今日しなくてもいいが明日は絶対しなければいけないこと
・今日しなくてもいいし一週間以内にすればいいこと
このように、管理しやすいタイプに、仕事を日々振り分けていきましょう。それをしないと、いつも混在した仕事を、新しい処理をするたびにシャッフルしなければいけません。最初に振り分けておけば気分的にかなり楽です。さらに、仕上げた処理についての書類や道具を処分または保留するなどの整理整頓にもつながります。
・仕事が入ってきたごとにファイル管理
・処理をしたごとにファイルから処理済ファイルへ移動
これをパソコンのデスクトップ上のファイルにつくっておけばいいのではないでしょうか。すべき内容をワードなどに名前を付けて保存をしておけば、ファイル上を移動させるだけですみます。
スケジュールを整理しておけば、今日しなければいけないことだけに集中できますので医療の向上、接客向上にもつながります。無駄な時間をなくしていくことで、経営に必要な時間の確保ができていくのではないでしょうか。
時間の分類こそマネジメント能力向上のコツ
ただ漠然と、マネジメント能力の向上をこころがけるだけでなく、日々の動物病院における実務の中で、まずは無駄な時間を捻出すること、それを有効に使える時間にかえていくことがマネジメント能力向上のためには必要です。