動物病院の増加、ペットを飼う人が少なくなっているという逆風が吹く中、企業体力や経営力のない動物病院は閉院していくという未来はそう遠くはありません。
このような環境の中、動物病院を新たに開業して、経営を続けていくということは相当の覚悟と知識が必要不可欠となります。
開業については臨床に関する知識や経験はもちろんのこと、どのような「考え方」であれば上手な動物病院の経営をすることができ、効率よく利益を上げることができるのでしょうか。
○「考え方」を文章に残す
将来の開業を考えている勤務医の先生は「こんな動物病院にしたい」という思いや構想があると思います。この思いや構造といった経営に関する考え方を文章として書き起こすことがとても重要なのです。この考え方をまとめた文章がいわゆる「経営計画書」と呼ばれるものとなるのです。
経営計画書は、動物病院開業の設計図です。
この設計図がきちんとしたものでないと、開業準備の段階で予期せぬトラブルが起きたり、何よりも開業後の経営が上手くいくわけがありません。経営が軌道に乗るかどうかは考え方、すなわち経営計画書の出来次第で左右されてしまうのです。
○経営計画書で大切にすべきこと4つ
動物病院経営の「考え方」を詰め込んだのが経営計画書です。この考え方もいくつかのカテゴリに細分化して決めておく方がより具体的となります。カテゴリの項目について、最低限決めておくとよい事について解説します。
●経営理念
動物病院の経営に関して一番大切にしていることがこの経営理念になります。動物病院を経営していく上での基本姿勢や社会責任、地域においてどのような役割を果たすのかをわかりやすく、明確に文章で表してみましょう。
●行動指針
動物病院の従業員として、実行すべき行動の基本となります。従業員全体で価値観や優先順位を一致させ、すべての従業員が目的意識を持った行動がとれるようにするものです。
●経営方針
事業主や従業員が掲げた目標を達成するために、中長期期間において実行していく経営の方針を決めます。
●中期経営計画
年間の経営計画だけでは、将来の動物病院がどのような状態になるのかは不透明になります。3年〜5年後に達成できると見込まれる目標を設定して、経営戦略や目標を達成するためのスケジュールを決めます。
この中期経営計画を立案しておくかどうかで、動物病院の従業員全体が目的意識を持って行動できるかが決まります。この中期経営計画はとても重要なので慎重に考えるとともに、専門家に相談してもよいでしょう。